仕事をしていると、さまざまなタイプの人と関わることがあります。
自分からどんどん学び、新しいことに挑戦していく人もいます。
一方で、あまり自己成長に関心がないように見える人もいます。
新しい知識を学ぼうとしない。
言われたこと以上のことをしようとしない。
改善点を伝えても、あまり響いていないように見える。
そういう人と一緒に仕事をしていると、どう接すればよいのか悩むことがあります。
特に、自分自身が成長したい気持ちを持って仕事をしている場合、自己成長意欲が低い人を見ると、どうしても物足りなさを感じてしまうことがあります。
なぜもっと頑張らないのか。
なぜ勉強しないのか。
なぜ変わろうとしないのか。
そう思ってしまうこともあるでしょう。
ただ、最近は少し考え方が変わってきました。
自己成長意欲があることは素晴らしいことですが、すべての人に同じ熱量を求めるのは難しいのかもしれません。
今回は、自己成長意欲がほとんどない人への接し方について、少し考えてみたいと思います。
まず前提として、人はそれぞれ仕事に求めているものが違います。
仕事を通じて成長したい人もいます。
専門性を高めたい人もいます。
役職や収入を上げたい人もいます。
一方で、安定して働きたい人もいます。
決められた仕事をきちんとこなし、生活とのバランスを取りたい人もいます。
仕事は人生の中心ではなく、生活を支えるためのものだと考えている人もいます。
どちらが正しいという話ではありません。
価値観の違いです。
もちろん、会社としては成長してもらいたい場面があります。
新しい業務を覚えてもらう必要もあります。
お客様によりよいサービスを提供するために、知識やスキルを高めてもらうことも必要です。
ただし、本人が望んでいない方向へ無理に引っ張ろうとしても、うまくいかないことが多いように思います。
さて、本題ですが、自己成長意欲が低い人に対して、最初に必要なのは「成長させよう」としすぎないことではないでしょうか。
少し冷たく聞こえるかもしれません。
しかし、人は他人の言葉だけで簡単に変わるものではありません。
本人が必要性を感じていないのに、周囲がどれだけ成長を求めても、なかなか行動にはつながりません。
むしろ、「もっと成長しなさい」「勉強しなさい」「意識を高く持ちなさい」と言い続けることで、相手が心を閉ざしてしまうこともあります。
成長意欲は、外から無理やり植え付けるものではなく、本人の中から少しずつ出てくるものなのだと思います。
では、自己成長意欲が低い人には何もしなくてよいのかというと、そうではありません。
大切なのは、成長意欲に頼らなくても仕事が回るようにすることです。
誰でも分かる手順を作る。
判断基準を明確にする。
ミスが起きにくい仕組みにする。
成果物の基準をはっきりさせる。
報告や相談のタイミングを決める。
こうした仕組みを整えることで、本人の意欲に依存しすぎずに、一定の品質で仕事を進めることができます。
これは、会社にとっても本人にとっても大切なことです。
意欲が高い人だけに頼る組織は、一見強そうに見えて、実は不安定です。
その人がいなくなったり、忙しくなったりすると、仕事が回らなくなってしまいます。
一方で、仕組みが整っていれば、意欲の高低に関係なく、最低限必要な仕事は進みます。
人を変えるより、仕組みを変える。
これは、マネジメントにおいてとても重要な考え方だと思います。
もう一つ大切なのは、求めるレベルを分けることです。
全員に同じ成長スピードや同じ熱量を求めると、現場は苦しくなります。
自ら学び、改善し、周囲を引っ張っていく役割の人もいれば、決められた業務を安定して行う役割の人もいます。
新しいことに挑戦する人もいれば、日々の運用を淡々と支える人もいます。
会社には、どちらも必要です。
すべての人がリーダーのように動く必要はありません。
すべての人が常に新しいことに挑戦し続ける必要もありません。
もちろん、最低限の責任や業務上必要な学習は求めるべきです。
しかし、それ以上の成長意欲については、本人の価値観も踏まえて考える必要があります。
たとえば、本人に大きな成長意欲はなくても、与えられた仕事を丁寧に続けられる人であれば、その安定感は一つの強みです。
毎日同じ作業をきちんと行える。
決められたルールを守れる。
大きな波はないけれど、淡々と続けられる。
これはこれで、組織にとって大切な力です。
一方で、自己成長意欲が低く、さらに最低限の業務品質も満たせない場合は、別の対応が必要になります。
この場合は、成長意欲の問題というより、業務遂行上の問題です。
何をいつまでに行う必要があるのか。
どの品質まで求めるのか。
できていない場合に、どのように改善するのか。
ここを具体的に伝える必要があります。
「もっとやる気を出してほしい」という言い方では、なかなか伝わりません。
やる気は見えにくいものです。
それよりも、具体的な行動や成果に落とし込むほうがよいと思います。
この作業はこの日までに終える。
報告は毎日このタイミングで行う。
確認漏れを防ぐためにチェックリストを使う。
分からないことがあれば、30分以上抱え込まずに相談する。
このように、行動として伝えることが大切です。
自己成長意欲が低い人に対して、「意識を変えてほしい」と言いたくなることがあります。
しかし、意識を変えるのはとても難しいものです。
一方で、行動を変えることは比較的具体的にできます。
行動が変わり、小さな成功体験が積み重なることで、結果的に本人の意識が少し変わることもあります。
最初から高い成長意欲を求めるのではなく、まずは仕事が進む行動を作る。
そのほうが現実的だと思います。
また、自己成長意欲が低く見える人の中には、実は成長したくないのではなく、自信がないだけの人もいます。
どうせ自分にはできない。
失敗したら怒られる。
何を学べばよいか分からない。
頑張っても評価されない。
そう感じている場合、表面的にはやる気がないように見えても、内側では諦めているだけかもしれません。
そのような人には、大きな目標を与えるよりも、小さな成功体験を積んでもらうことが大切です。
少し頑張ればできる仕事を任せる。
できたことを具体的に伝える。
次に何をすればよいかを明確にする。
こうした積み重ねによって、自分にもできるかもしれないと思えるようになることがあります。
人は、成長したいと思ったから成長する場合もありますが、できることが増えた結果、成長に前向きになる場合もあります。
ただし、それでも変わらない人もいます。
これは現実としてあります。
どれだけ丁寧に伝えても、仕組みを整えても、本人が変わる気がない場合、周囲ができることには限界があります。
そのときは、期待値を見直すことも必要です。
この人にはどこまで求めるのか。
どの業務であれば任せられるのか。
どの役割は難しいのか。
どこから先は別の人に任せるべきなのか。
こうした判断も、組織運営には必要です。
全員を同じように成長させようとすると、管理する側も疲弊します。
期待して、裏切られたように感じて、また期待して、また落胆する。
これを繰り返すと、相手への見方も厳しくなってしまいます。
最初から適切な期待値を持つことは、冷たいことではありません。
むしろ、お互いに無理をしないために必要なことです。
自己成長意欲が高い人には、挑戦の機会を与える。
安定して仕事をしたい人には、明確な役割と手順を用意する。
最低限の基準を満たせない人には、具体的な改善を求める。
それでも難しければ、配置や役割を見直す。
このように、人によって接し方を変えることが大切なのだと思います。
会社には、いろいろな人がいます。
全員が同じ価値観で働いているわけではありません。
成長したい人もいれば、今のまま安定して働きたい人もいます。
新しいことが好きな人もいれば、変化が苦手な人もいます。
経営やマネジメントでは、その違いを前提に考える必要があります。
もちろん、会社として成長を求めることは大切です。
変化の早い時代に、何も学ばず、何も変わらずにいれば、会社も個人も厳しくなっていくでしょう。
ただし、成長の形や速度は人によって違います。
全員に同じ熱量を求めるのではなく、それぞれが担える役割の中で、少しでも前に進めるようにする。
それが現実的な接し方なのかもしれません。
かくいう私自身も、自己成長意欲の高い人と仕事をすると、とても話が早いと感じます。
こちらが細かく言わなくても、自分で考え、学び、動いてくれるからです。
一方で、そうではない人と関わると、どうしてももどかしさを感じることがあります。
しかし、そこで相手を責めるだけでは、何も変わりません。
大切なのは、相手を無理に変えようとすることではなく、仕事としてどう成立させるかを考えることです。
成長意欲に期待しすぎず、仕組みで支える。
求める基準を明確にする。
小さな行動から変えていく。
それでも難しい場合は、役割を見直す。
自己成長意欲がほとんどない人への接し方は、結局のところ、人を変える話であると同時に、組織をどう設計するかの話でもあるのだと思います。
ということで本日は、自己成長意欲がほとんどない人への接し方について、少し考えてみました。

コメント